スケーリングの重要性~健康な歯を保つために~
- 2024年8月17日
- コラム
こんにちは!いくま歯科医院です。
歯の健康を保つためには、定期的な「スケーリング」が重要です。しかし皆様の中には「スケーリング」という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、スケーリングの基本から種類、効果、リスク、そして定期的なスケーリングの重要性について詳しく解説します。
歯のお掃除やメンテナンスをお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
スケーリングの基本
スケーリングとは何か?
スケーリングとは、歯の表面に付着した歯石を除去する処置です。
歯石は硬化したプラーク(歯垢)で、歯ブラシでは取り除くことができないため、専門的な処置が必要です。歯石は表面がざらついていて汚れが付きやすく、放置しておくと細菌が増えやすい環境ができあがり、虫歯や歯周病のリスクを上昇させます。スケーリングは、歯の表面を清潔に保つために欠かせないプロセスであり、口内の健康を維持するための基盤となります。
ルートプレーニングとの違い
歯石取りには「スケーリング(scaling)」と「ルートプレーニング(root planing)」があります。これらは頭文字をとって、SRPと略されることがあります。スケーリングは歯の表面のクリーニングを指しますが、ルートプレーニングは歯根の滑らかさを取り戻すための処置です。
ルートプレーニングでは、歯周ポケットの中にある歯根表面を滑らかにし、歯茎が歯に付着しやすくします。これにより、歯周ポケットの細菌を除去し、健康な歯茎の再生を促します。ルートプレーニングは主に中等度の歯周病で必要とされます。
スケーリングの目的と必要性
スケーリングの主な目的は、歯周病の予防と治療です。定期的なスケーリングにより、口内環境を清潔に保ち、歯周病や虫歯のリスクを減少させることができます。またスケーリングは口臭の原因となる歯垢や歯石を取り除くため、口臭予防にも効果的です。
歯石が付着すると、歯と歯茎の間に細菌が繁殖しやすくなり、歯周病の進行を促進します。スケーリングはこれらのリスクを軽減し、健康な口内環境を維持することができます。
スケーリングで使用される器具
スケーリングでは「スケーラー」という道具を使用して歯石やバイオフィルム(細菌の膜)を除去します。「スケーラー」には様々な種類があります。
手用スケーラー
手用スケーラーは、手動で歯石を削り取る道具です。
精密な操作が可能で、細かい部分の歯石除去に適しています。手用スケーラーは、特に歯間や歯茎の際などの細かい部分のクリーニングに効果的です。
↑手用スケーラー
超音波スケーラー
超音波スケーラーは、超音波による高速振動を利用して歯石を粉砕する機器です。
短時間で広範囲の歯石を除去できるため、効率的なクリーニングが可能です。超音波スケーラーは、振動による微細な動きで歯石を砕くため、歯面を傷つけることなく歯石を除去することができます。また、超音波スケーラーには水を噴射する機能があり、クリーニング中に歯石やプラークを洗い流すことができます。
↑超音波スケーラー
エアスケーラー
エアスケーラーは、空気の圧力による高速振動を利用して歯石を粉砕する道具です。
患者様の負担が少なく、快適にスケーリングを受けることができます。エアスケーラーは、特に歯石が少ない場合や、軽度のクリーニングが必要な場合に効果的です。空気の圧力を利用するため、手用スケーラーや超音波スケーラーと比べて刺激が少なく、痛みを感じにくいのが特徴です。
↑エアスケーラー
スケーリングの効果
口内環境の改善
スケーリングにより、歯石やプラークが除去されると、口内環境が大幅に改善します。口内環境が改善されることで、歯肉の炎症が減少し、口臭の原因となる細菌の繁殖を防ぎます。
歯周病予防
定期的なスケーリングは、歯周病の予防に非常に効果的です。歯周ポケット内の細菌が減少し、歯周病の進行を防ぐことができます。歯周病は、歯茎の炎症や出血、歯の喪失などの症状を引き起こす可能性がありますが、スケーリングを行うことで、これらのリスクを大幅に軽減することができます。また、スケーリングにより歯周ポケットが浅くなり、歯と歯茎を健康な状態に保ちます。
スケーリングのリスクと対処法
知覚過敏
スケーリング後に知覚過敏が起こることがあります。この場合、知覚過敏用の歯磨き粉を使用することが効果的です。知覚過敏は、一時的なものであり、数日から数週間で改善することが一般的です。長期間知覚過敏が続く場合は、歯科医院に相談してみましょう。
一時的な出血
スケーリング中や治療後に一時的な出血が見られることがありますが、基本的には自然に止まります。心配な場合は歯科医院に相談してください。出血は、歯茎が炎症を起こしている場合や、歯石が多く付着している場合に起こりやすいですが、スケーリングにより炎症が改善されていくと出血も治まっていきます。
スケーリングに関するよくある質問
スケーリングは痛いのか?
スケーリングは健康的な歯ぐきの場合、基本的に痛みはありません。しかし歯石が多い場合や、歯茎が炎症を起こしている場合には、軽い痛みや不快感が生じることがあります。痛みに耐えられないという方は麻酔を使用することで痛みを軽減し、快適にスケーリングを受けることができます。
スケーリングの頻度は?
一般的には、3〜6ヶ月に一度のスケーリングが推奨されます。ただし、患者様一人一人のお口の状態によって異なるため、歯科医院と相談して最適な間隔で通うことが重要です。例えば、歯周病のリスクが高い患者様にはより頻繁なスケーリングが推奨されます。一方で、口内が健康な患者様は、6カ月以上期間を空けてのスケーリングで十分な場合があります。
定期的なスケーリングは、歯周病や虫歯の予防に効果的であり、口内の健康を維持するために欠かせません。
スケーリング後に注意すべきことは?
スケーリング後の食事は、外的刺激に敏感になっているため、1時間ほど空けたほうが良いでしょう。またスケーリングが終わってからも自宅で、定期的な歯みがきとフロスの使用を続けることが重要です。スケーリング後の数日間は、歯ぐきが敏感になっていることがあるため、優しくブラッシングを行い、口内を清潔に保ちましょう。
自分でスケーリングしてもよい?
自宅でのスケーリングは推奨されません。適切な技術と道具が必要であり、専門的なクリーニングが必要です。自己処置は、歯や歯ぐきを傷つけるリスクが高く、専門家によるスケーリングを受けることをおすすめします。
まとめ
本記事をお読みいただきありがとうございます。
スケーリングは、口内環境の改善と歯周病予防に非常に効果的な治療法です。定期的なスケーリングを受けることで、健康な歯と歯茎を維持することができます。スケーリングの効果を最大限に引き出すためには、専門的なケアと日常的な口腔ケアを組み合わせることが重要です。
何かご不明な点や、お悩みがございましたら、いくま歯科医院にお気軽にご相談ください。