歯周病治療
歯周病治療
いくま歯科医院では歯周病の治療を重要に考えております。歯周病は国民の80%が罹患する国民病といわれて、最近では様々な全身の病気の原因になっていることが明らかになってきています。例えば心筋梗塞の原因の冠状動脈にたまったプラークの中から歯周病菌が検出されていたり、痴呆の確率が上がったり、低体重児出産の原因になったりします。このように危険な歯周病ですが重症にならないと自覚症状が出ないことが多く気づいた時には手遅れになっていることも多いです。当院ではすべての患者様の歯茎を点検してどの程度の歯周病リスクがあるかをお知らせして重症化する前に予防していただくようにお伝えしております。
一般的に歯周病の治療には抗菌剤は効果が少なく使われることが少ないですが一部の抗菌剤が極めて効果が高いケースがあります。当院ではそのような飲み薬での治療も併用して行うことにより良好な結果を得ております。
また最近では再生療法も保険適応されて場合によっては骨の再生も可能になりました。当院では治療後に患者様それぞれに合ったメインテナンス期間をお伝えすることによって予防をしっかりと行っており毎月500名以上の方がメインテナンス治療に通われております。
歯周病は、歯と歯肉の間の歯周ポケットに細菌が侵入し、炎症を引き起こす病気です。この炎症が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に溶け始めます。歯周病は、歯を失う主な原因の一つであり、初期段階では「歯肉炎」と呼ばれ、症状が進行し骨にまで達すると「歯周炎(歯槽膿漏)」となります。軽度の時は自覚症状がなく、気づかないうちに進行することが多いです。歯周ポケットが深くなっていくと、歯肉が腫れ、歯がグラグラするなどの症状が現れてものが噛めなくなり、この段階で放置すると歯が抜け落ちる危険性が高まります。
歯周病は口内の問題に留まらず、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。細菌が血流に乗って全身を巡り、糖尿病や心筋梗塞、低体重児出産などのリスクを高めることが研究で示されています。歯みがきを中心としたご自分でのお手入れはもちろん、歯科での定期検診を通じて、プロフェッショナルケアを受けることで、歯周病の早期発見・早期治療を心がけましょう。
これらの症状がいくつか当てはまる場合は、歯周病が進行している可能性があります。自己判断せず、専門の歯科医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
歯周病の主な原因は、歯と歯ぐきの間に蓄積されるプラーク(歯垢)です。プラークは細菌のかたまりであり、これらの細菌は糖分を摂取した際にネバネバしたバイオフィルムという粘膜性の膜を形成します。このバイオフィルムが歯の表面に固着し、さらにプラークが蓄積することで、歯肉に炎症を引き起こします。これが歯周病と呼ばれる状態です。不十分なブラッシングや過剰な糖分摂取により、プラークの形成が促進されます。このプラークが硬化すると歯石に変わり、歯の表面に強固に付着します。歯石はプラークの格好の住処となり、さらに炎症を促進します。歯石は通常のブラッシングでは除去が困難で、専門的なクリーニングが必要です。
歯周病の主な原因はプラークですが、生活習慣や口内環境によって、歯周病が発生しやすくなる、または悪化するリスク要因が存在します。これらの要因が組み合わさると、歯周病にかかる可能性が高まります。特に、口内の不十分な清掃に加えて、喫煙、過大なストレス、健康不良による免疫力の低下などがリスクを増大させる要因となります。
歯周病を予防する基本は、適切な歯磨きでプラークを除去することですが、健康的な生活習慣を維持することも非常に重要です。さらに、体質的に歯周病になりやすい方も存在しますので、自分の体の特性を理解し、適切な対策を取ることが重要です。
歯周病の進行は一般的に次の段階を経て進行します。
健康な状態
健康な歯肉は薄いピンク色をしており、歯と歯肉の間にすき間(歯周ポケット)がなくしっかりと引き締まっています。ブラッシング時には出血もありません。
軽度歯周病
歯肉に炎症が生じ、歯周ポケットが深くなります。この段階では痛みはほとんど感じられませんが、ブラッシング時や硬いものを食べる際に出血が見られることがあります。
見た目の状態
歯肉は赤く腫れ上がり、歯と歯肉の間にプラーク(歯垢)が蓄積します。
中度歯周病
この段階では、歯肉だけでなく、歯を支える顎の骨にも炎症が及び、骨が徐々に溶け始めるため、状態はより深刻です。歯周ポケットはさらに深くなり、歯がグラつき始めることがあります。また、口臭が発生し、歯が浮いたような感じがすることもあります。
見た目の状態
全体的に歯肉が赤く腫れあがり、変色も激しくなります。
重度歯周病
この段階で、歯を支える骨はほとんど溶けてしまい、歯周ポケットが大きく深くなっています。その結果、歯のグラつきが顕著になり、さらに歯の根が露出すると状態はさらに悪化します。口臭が非常に強くなり、膿が出ることもあります。このような状態を放置すると、最終的に歯が抜け落ちる可能性が高まります。
見た目の状態
この段階では、歯肉が赤紫色に変色し、歯と接する部分の歯肉がさらに腫れ上がります。歯と歯の間隔が広がるため、食べ物が頻繁に詰まってしまいます。
近年の研究により、慢性的な歯周病が全身のさまざまな健康問題と密接に関連していることが明らかになっています。歯周病のある部位には、歯周病菌やその毒素、さらに炎症反応で生成されるプロスタグランジンやサイトカインなどが存在します。これらの物質が歯肉の毛細血管を通じて全身に広がると、脳卒中(脳梗塞)、心筋梗塞、糖尿病の悪化などのリスクが増加するとされています。また、唾液中に含まれる歯周病菌が誤って気道に入ると、気管支炎や誤嚥性肺炎を引き起こす原因となり、低体重児の出産リスクも高まります。このため、出産前の歯科検診が非常に重要です。
歯周病と全身疾患は相互に影響し合い、歯周病の予防や治療は全身の健康を守るためにも重要です。したがって、歯周病の予防や治療は、全身の健康維持と密接に関係するため、健康的な生活を送る上で欠かせないものと言えるでしょう。
歯周病の治療は、歯科医師による面接と検査、診断を基に開始されます。治療内容は「歯周基本治療」「歯周外科治療」「口腔機能回復治療」「メインテナンス※」の四つのカテゴリーに分けられ、各治療ステップの間には再検査(再評価)を行い、治療効果を確認します。歯周病の主要な原因は、歯に付着するプラーク(歯垢)であり、これを適切に管理しないと歯周病の進行を防ぐことは困難です。そのため、プラークや歯石の除去に重点を置いた「歯周基本治療」が中心となります。
治療は、患者自身による「セルフケア(日々の歯磨き等)」と歯科医院で提供される専門的な「プロフェッショナルケア」によって進められます。「歯周基本治療」は、軽度の歯肉炎から重度の歯周病に至るまで幅広い段階で適用されます。歯肉炎や軽度の歯周病の場合、プロフェッショナルケアだけで改善することもありますが、より深刻な汚染が歯肉の奥に存在する場合は「歯周外科治療」が必要となることもあります。治療の効果が再検査で確認され、問題が解決した場合はメインテナンスへと移行し、さらなる改善が必要な場合は再治療を行います。このプロセスを繰り返し、口内環境を健康に保つことを目指します。
※メインテナンス:定期的に実施される治療で、むし歯や歯周病の再発を防ぎ、長期的に口内の健康を維持するためのものです。
治療の開始前には、まず患者様の口内の状態や歯周病の進行具合をチェックします。具体的には、プラークの付着状況、歯肉の炎症の程度と出血の有無、歯周ポケットの深さ、及び歯の動揺度を検査します。さらに、レントゲン撮影を通じて、肉眼では確認できない歯の周囲の歯槽骨の状態も詳しく確認します。もし痛みが伴っている場合は、応急処置を行い、痛みを軽減させる措置を取ります。
細菌性プラークの除去は、歯周病治療において非常に重要なプロセスです。治療の効果を高めるためにも、患者様自身が日常の口腔ケアに対して積極的に取り組む意識を持つことが必要です。ブラッシング指導では、現在のブラッシング方法による磨き残しの箇所を特定し、より効果的なブラッシングを学んでいただきます。
歯石の除去には「スケーリング」と「ルートプレーニング」の二つの方法があります。スケーリングは、歯科医師や歯科衛生士がプラークや歯石を機械的に除去するPMTC(専門家による機械的歯面清掃)です。この処置には超音波スケーラーやキュレットスケーラーが使用され、ブラッシングだけでは取り除けない汚れを効果的にクリアします。一方、ルートプレーニングは歯周ポケット内のプラークや歯石を除去し、その後、歯の表面を滑らかに磨き上げて再度汚れが付着することを防ぐ治療法です。
治療の初期段階からの改善状況を確認するために、再度スクリーニングを行います。この検査結果を基に、次の治療ステップの必要性や内容を検討します。
歯周基本治療後の再評価で、歯周ポケットの深部に侵入した歯石が完全に除去されていない場合、フラップ手術を行う可能性があります。この手術では、まず局所麻酔を施した後、歯肉を切開して歯根を露出させます。これにより、歯周ポケットの奥深くに残っている歯石を取り除くことができます。さらに、部分的に失われた骨を再生するための再生療法も行われることがあります。
治療により改善が確認された場合、歯の機能を回復し、噛む力や食べる力を向上させるために、被せ物(歯冠)、ブリッジ、または入れ歯(義歯)の装着が行われます。
治療が完了した後でも、メインテナンスは非常に重要です。歯周病は再発しやすく、時には再び問題が発生し追加の治療が必要となる場合もあります。メインテナンスでは、定期的に口内検査を行い、歯と周囲の組織の状態をチェックします。また、専門的なクリーニングであるPMTC(専門家による機械的歯面清掃)を受けることで、口内を清潔に保ち、歯周病の再発を防ぎます。家庭でのセルフケアも重要ですが、それだけでは不十分な場合もあります。そのため、数ヶ月に一度のメインテナンスを受けることをお勧めします。
項目 | 料金 |
---|---|
歯周病治療 | 約3,000円~(税込) |